チョコレートのようなコクと香り。濃厚。
濃厚です。そして抜群のチョコレート感。この独特な味わいの正体はコーヒーに含まれる脂質、コーヒーオイルの量に関係があるかもしれません。
どの豆も深煎りにすれば表面にコーヒーオイルが浮かび上がりテカテカな焼き上がりになります。でもインドのテカリ具合は圧倒的。おかげで焙煎機もオイルでベタベタ。
シロップを口に含んだかのようなトロっとした口当たり。深煎りにしても存在感を失わない個性的な味と香り。甘い余韻がいつまでも続きます。何も考えずにゆったり、ストレスや緊張をもみほぐしたいときにピッタリです。
ビオダイナミックという自然本来の姿をそのまま活かすだけでなく、天体の動きをも取り入れた壮大すぎて良く分からない農法で生産された話題のインドコーヒーです。
※おすすめのフルシティロースト(深煎り)の感想です。

生豆資料
農園名:ポアブス・エステート社、セータルグンディ農園
所在地:インド南西部、ケララ州北部ネリヤンパティ丘陵
標高: 900~1250m
面積: 総面積344 ㌶(内コーヒー160㌶)アラビカ約120 ㌶/ロブスタ約40㌶
品種: アラビカS9
精製: ウォッシュド
収穫期: 11月初旬から1月末
収穫方法: 赤実を4回に分けて手摘み
認証: JAS認証 Demeter認証(ビオダイナミック農法)
この豆が育った場所──インド
7粒から世界8位のコーヒー生産国。
紅茶の生産で名高いインド。19世紀に長く英国の支配下であった歴史から紅茶のイメージが近い同国も、実は以前はコーヒーの生産がずっと盛んであった。
まだエチオピアやイエメンでしか珈琲を作られておらず、イスラム寺院の中での秘薬とされていたころ。17世紀にババブータンというイスラムの僧侶がメッカに巡礼に行った途中に、イエメンから7粒のコーヒー豆をひそかにインドに持ち帰った、要するにパクったことがその始まりとされる。
世界で3番目に珈琲を始めた、いわば歴史は相当に古い国だが、その後に襲ったサビ病の流行から紅茶に転作した農家も多かったという。しかしインドは世界的にも第8位(2017データ)の生産量を誇り、特に南部では標高の高い山も多く、赤道の下コーヒーを作るには万全の土地ともいえる。そのうちの半数はロブスタで、残りがアラビカ種。アラビカ種の中にはインド独特のオリジナリティのある生豆も多い。
一昔前には行くと価値観が変わるとまで言われたインド。昨今では世界有数の経済発展国に。コーヒーにおいても、インドならではのダイナミズムで、これからは消費国としても生産国としても全く目を離せない超進化を遂げる国のひとつだろう。

