穏やかな甘さと口当たり。漂い続けるウイスキー感。
香りは立ち込めるような強いものではなく穏やか。透き通るようなクリーンなアロマが傍を漂い続けます。まるで水割りのウイスキーを口に含んだかのようです。落ち着きます。ハイロースト(やや浅煎り)で焙煎しても酸味に角は立たず、むしろ甘さが際立ってサラッと飲めてしまいます。滑らかな口当たりとゆったりとした香りに、タイの方々の丁寧さと優しさが伝わってくる気がしました。
タイのコーヒーはなんとなく信頼を感じます。国際的にはあまり有名な産地ではないのですが、味や香りからも丁寧な仕事ぶりが伺えます。淀みなくとってもクリア。購入する際ブランド力のある産地の選択を一度置いといて、是非ともお試しいただきたい逸品です。
※おすすめのハイロースト(やや浅煎り)の感想です。

生豆資料
生産地:タイ チェンライ ドイパンコン
精製:ナチュラル
標高:1250~1500
品種:カツアイ ティピカ Chiang Mai
乾燥:天日乾燥 アフリカンベッド
栽培:シェードグロウン
カップ評価:winy syrupy wiskey
この豆が育った場所──タイ
多様性が花咲く黄金郷。
東南アジアで最もスペシャルティコーヒーの進んでいる国のひとつ。国際都市であるバンコクはもちろん、チェンマイなど地方都市にもオシャレなカフェが立ち並び、ラテアートの世界チャンピオンも輩出し、最先端のエスプレッソマシンもずらり。そんなオーナーさんたちはまだ若く、バリスタ、そして珈琲好きな仲間が集う。そして国際的にはさほど有名ではないが珈琲の産地でもある。北部のチェンマイやチェンライにはアラビカ種の栽培に適した標高の高い山、そこには様々な少数民族が住み、珈琲で生計を立てる。
10年前そんな少数民族の暮らしを救おうとタイから来た熱い若者が弊社を訪れた。買って欲しいという生豆は焙煎するとまるで泥の様な味。が、今はどうだろう。浅煎りで焙煎するとそれはスペシャルティコーヒーそのもの。経済の発展とともにカフェや専門店の求める味のクオリティがあがり、今やコーヒーの市場だけでなく、産地としても成長著しい国に。
そもそもはメコン川流域で3つの国が隣りあう、ミャンマー・ラオス・タイの「黄金の三角地帯」として悪名を馳せた。芥子の花が咲く世界最大の麻薬の名産地。そこが1990年代に始まったタイ王室の麻薬撲滅&少数民族救済キャンペーンを機に、アラビカの珈琲の花咲く土地に変化しだした。今では「黄金の三日月地帯」(イラン・アフガン・パキスタン)に世界最大の座を渡している。
そしてそんなアラビカ珈琲のクオリティがあがるにつれ、タイのコーヒー文化も少しずつ変化が訪れた。南部で生産されるロブスタ中心だったタイのコーヒーは今もミルク入りが多いが、アラビカ種の良いコーヒーの出現でブラックで飲む習慣も始まった。良い循環が多様性を産み、多くの民族が共存共栄。王室が始めたそんなコーヒーマジックがタイの人々の日常にも息づきだしたようだ。。


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