じっとり体に沁みこむ柑橘系の酸味。チョコレートのような甘さ。
とっても味わい深い酸味です。明るくて軽いレモンというよりは少し重厚感のあるオレンジ。柑橘系を思わせる要因としてほのかな「えぐみ」があると思うのですが、これがまた酸味に奥深さを与えています。悪い意味ではなく若い緑のような。フキノトウや菜の花?浅煎りにしてもサラッとではなく、フルーツの果汁のようにじっとり体に沁みこんできます。
その酸味をチョコレートのような甘さがほどよく包み込んでる感じです。酸味と甘さのバランスが絶妙で上品。優雅な味わい。主張が強すぎると苦手になりがちな柑橘系の酸味を上手に楽しませてくれるコーヒーです。
※おすすめのハイロースト(やや浅煎り)の感想です。

生豆資料
生産国:ペルー
生産地域: カハマルカ県チリノス
品種:ティピカ、ムンドノーボ、カツーラ等
スクリーン: 15UP
生産高度: 1750m~1900m
精製方法: フルウォッシュド、天日乾燥
収穫時期: 6月~9月
この豆が育った場所──ペルー
美食の国の進化するコーヒー。
ペルーといえば、旧インカ帝国、マチュピチュ、ナスカの地上絵、セビーチェ。エキゾチックなその魅力から「いつか行きたい」と言いながらも、そのあまりの遠さにいつか行きたいが実現することはあまりない。
そんな遠いイメージのペルーも、じゃがいも、トマト、唐辛子、かぼちゃ、ピーナッツの原産地と聞くと、エキゾチックな謎の国から我々の日常に近い国な気がしてくる。16世紀にスペインがこの地を征服しつくした後、ヨーロッパにこれらの食材を持ち帰らなければ、トマトのないイタリア料理、ジャガイモのないドイツ料理、ひいてはキムチのない韓国料理になっていたかもしれない。そして本場ペルー料理は今や世界でも有名、ワールドトラベルアワードにて「世界で最も美食を楽しめる国」に4年連続最優秀に選出されている。
日本との関係では、明治時代に日本から移民した人も多く、ペルーの元大統領が日本の熊本県にルーツを持つ方であったことも記憶に新しい。主食が米というのも日本人には親しみが持てるところだろう。
コーヒーについては南米の二大大国ブラジル、コロンビアの陰にかくれがち。ブラジルほどの生産量はなく、コロンビアほどの凄みもなく、マイルドで飲みやすい珈琲というイメージ。しかし昨今は美食の国ならではのクリーンなカップの珈琲やオリジナリティあふれる農園が生まれ、驚くような面白い味や香りの珈琲が突如として現れ始めている。そんなサプライズが最も期待できるペルー。今後のスペシャルティコーヒーシーンで目の離せない産地のひとつであろう。


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